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篠田節子著『妖櫻忌』
氏の小説はだいたい読んでいます。先日本屋で見かけないタイトルが文庫になっていたので、さっそく購入。本日読了しました。

内容は、女流作家・大原鳳月が事故で死亡。葬儀の後、担当編集者・堀口の元に大原の秘書・若桑律子が、自分の書いた原稿を持ち込む。若桑律子が書いたというその小説は、筆が進むに従って大原が書いた文章に似てくる。大原鳳月の遺作を隠し、自分の名前で世に出そうと目論んでいるのか?謎を追う堀口が見たものは...
女の情念は憑依か?!久々のホラーエンタテインメント。

どちらかというと、氏の作品では、ホラーではなく、女性小説や芸術家小説が好きなのですが、ご本人は「私はホラー作家」といいきっております。特に直木賞をとった『女たちのジハード』は逸品。ぐいぐいひきこまれました。面白いです。

で、この『妖櫻忌』ですが、さすが得意分野!と思わせる筆力です。しかし、ホラーといいきってしまうには、物足りない気がします。私的には、これくらいで充分なんですが。
篠田作品をホラーで好きになった人にはイマイチかもしれません。
ストーリー展開にヒネリがありませんでした。

でも私は氏の見事な筆力に魅せられてしまうので、充分満足。
新作、どんどん出して欲しいなぁ。

(追伸)
小説「天国にいちばん近い島」で知られる作家の森村桂さんがお亡くなりになったと聞いてビックリ。もうだいぶ前ですが、軽井沢にある「アリスの丘」へ行ったことがあります。絵画等でも活躍されていたと聞いておりました。残念です。
by uzuzun_55 | 2004-09-28 00:41 | 読書(ほとんどミステリ)
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